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 琵琶湖の密度流

 
 互いに接する水の密度の違いが原因で生じる流れです。 冷たい(重い)水が暖かい(軽い)水の下に潜り込みます。 水の入れ替わりのところで説明しましたように、河川水と湖水の温度差によって河川水が琵琶湖の表層に拡がったり、 河口付近で潜ったりします。また、秋から冬にかけて南湖水が北湖水よりも冷たくなったときに、 南湖の水が北湖水の下に潜るという現象が琵琶湖大橋付近でよく見られます。これは、南湖の濁った水が北湖に逆流することを意味するので、北湖の水質悪化を考える上できわめて重要です。


 下の図は、琵琶湖大橋付近の南北断面内で観測された水温と濁度の分布です。この時期には南湖の方が北湖よりも低温になり、密度流として北湖の底層に侵入します。それによって南湖の濁った水が北湖に流入するわけです。南湖水は単に濁っているだけでなく、リンや窒素なども高濃度であるため、北湖の水質悪化につながります。

 かつて、びわ湖の汚染が急速に進んだ頃に、ある政治家が「まあ、南湖は捨ててもよいだろう。まだ北湖があるから。」などと言ったそうです。とんでもない話で、南湖の汚染を放置すれば、密度流によってまさにジワジワと北湖が汚れていくことを心に銘記すべきです。
 



 密度流の流速は5cm/sec程度ですが、11月中旬から12月末あたりまで継続するので、かなりの量(約1億m3)の南湖水が北湖に流入していると考えられます。なお、琵琶湖大橋付近では瀬田川洗堰での放流に伴う流れや、静振による振動流が卓越するので、密度流の実態を明らかにするためには測流結果を慎重に吟味する必要があります。

 下図は、2005年12月に琵琶湖大橋付近で観測された表層(0.5m)と底層(7m)での湖流の南北成分(上図)と水温(下図)の時間変化を示したものです。水温には明らかな成層が見られます。表層の水は南流し、底層の湖流は北向きの場合が多く、これが密度流の存在を示しています。ただし、周期約4時間の表面静振に伴う流れや、南風の連吹に伴う鉛直循環流(12月10日のお昼頃)なども同時に見ることができます。
 


 余談ですが、寒い地方の湖では冬季に湖水温が0℃以下になり結氷します。びわ湖南湖でも氷が観測されたことがあります(たとえば1963年冬)。 淡水の密度は4℃で最大になるので、4℃以下の水は4℃の水よりも浅い層に存在し、 冷却によってさらに低温となり湖の表面から氷が張ってゆきます。 もし、水が0℃以下で最大密度を持つ物質だったら、湖の底から氷が張ってゆき、 湖底に棲む生物は凍結してしまいますね。まあ、その前に逃げ出すでしょうけれど…。

密度流に関連した情報が、
遠藤・岡本ほか(1989):「びわの種々の界面部における物質動態に関する物理、化学、生物学的研究(T)」
滋賀大学教育学部紀要、39、にあります。


©2017 SEndo Kouta


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