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 琵琶湖の水温

 
 水温は最も基本的な水質です。水質という言葉からは、リン、チッソ、あるいはCODなどを思い浮べますが、人間の健康状態をまず体温で診断するように、水温は湖の状態を知るための重要な水質なのです。

 右図は2010年の琵琶湖北湖今津沖の水温分布を月ごとに描いたものです。表層の水温は1年間で大きな変化を示し、8月〜9月が最高で2月〜3月に最低となります。気温の変化よりも約1ヶ月遅れて最高水温や最低水温が出現します。一方、びわ湖の深いところでは1年中同じような水温になっています。

 水温の鉛直分布で注目してほしいのは、夏季に深さ10〜20m付近で急激に水温が変化していることです。このような深さ(層)を「水温躍層」と呼び、湖沼学では大変重要な概念です。水温躍層を境にして上層と下層はまるで水と油のようにお互いに独立した環境を作り出しています。つまり、温かくて軽い上層の水と冷たくて重い下層の水とはほとんど交流しません。

 なぜ、このような水温分布が形成されるのでしょうか? 答えは、湖水が上の方から温められることと、風による混合にあります。やかんでお湯を沸かす場合には下方から加熱するので、温められて軽くなった水が上昇し、盛んな対流と混合によってやかんの中の水はどこでも同じような温度になります。ところが湖の場合には太陽熱が表面水を加熱するので、温められてよりいっそう軽くなった水は沈むことができません。ガスで沸かすお風呂の表面近くの水は熱くて触れないほど高温になりますが、底の水は冷たいままという経験があるでしょう。もし湖上に風がなければ、春から夏にかけてびわ湖の表面水温はどんどん上昇するでしょう。ところが、実際には風の力によって表面付近の水は常に混合されています。また風には蒸発を促進する働きがあるので、気化熱(潜熱)を水から奪うために表面水温が低下し、少し重くなった水が沈みはじめます。こうして、ある深さまでの水が混合して同じような水温となり、その下の水との間に急激な水温差を作り出すのです。

 余談になりますが、皆さんは熱いお茶を飲むときにふーっと息をかけるでしょう。吐く息の温度は体温に近いので、それほど低温ではありません。実は、息(風)を吹きかけることによって蒸発を促進し、お茶から気化熱を奪って温度を下げようとしているのです。


 水深の違いにより南湖と北湖とでは水温の差が生じます。下の図は、船に温度計を取り付けて走りながら表面水温を連続的に観測した結果です。冬季(11月〜2月)では、北湖に比べて水深の浅い南湖の水温が低く、3月〜5月の昇温期には南湖のほうが高温となっています。このような南北湖の水温の違いが湖水の交流の原因となります。




 下の図は、いろいろな深さの水温を1年間にわたって測定した結果です。大きな季節変化を示すことがよくわかります。とくに水温躍層付近(10〜20m)では、主として風や内部波による顕著な水温変動が観測されます。また、表面水温には、1日周期の変化(日較差)がみてとれます。






過去の水温観測データ

毎月一回の定期観測によって得られたデータです。
観測場所は、近江舞子沖の水深75m(いわゆるIe-1の近く)です。
1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011


水温に関連した情報が、
遠藤・奥村ほか(2010):「テレメータブイによるびわ湖の気象・流況・水質の連続観測」
陸水学雑誌、71、にあります。



©2017 SEndo Kouta


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